国際連帯の日の振り返り

≪エコロジカルな回心≫

導 入

エコロジーとは生物学上の用語で、人類を含むすべての生き物の、周囲の環境との関係に関わる研究のことです。回心は、何かから他のものに向きを変えること、すなわち変化です。ですから、私たちがエコロジカルな回心について考える時、人類を取り囲むいのちのすべてとの深い相互関係を熟考するために、しばらく時間をとることからはじめましょう。

 

星、太陽、月、海、山、植物、地球の生物といった私たちを取り巻くすべてとの、またあらゆるところのすべての人々との驚くべきエコロジカルな関係の不思議な感覚、畏敬の念、また感謝を思い起こしましょう。この不思議な感覚、畏敬の念、感謝から、今日の世界を取り囲むすべてと、相互にいのちを与え合い正しい関係の中で生きるどのようなエコロジカルな回心あるいは変化がすぐ思い浮かぶでしょう。

 

祈りへの招き

創造主である愛する神よ、あなたは、生きとし生けるものを、あなたご自身のイメージと似姿に創られ、私たちに住まいとして地球をくださいました。私たちの「家」に存在するすべての被造物との関わりを観想する時、あなたの霊が私たちの心にしみとおりますように。私たちが、個人として、共同体として目指している正義が求めるすべてのエコロジカルな変容に心を開くことができますよう助けてください。これをイエスのみ名によって祈ります、アーメン。

【体 験】

エコロジカルな回心とは何でしょうか 

回心がはじまるのは、もちろん個人からです。そして、もしトマス・マートンのような一個人が、日記に自分の体験を記すなら、その変容の足跡をたどることが出来ます。1962年、トマス・マートンがレイチェル・カーソンによる『沈黙の春』の論評に出会った時、マートンは、毒を見境なく使った結果鳥に起きていることを知ってショックを受けました。後に自分でその本を読み、自分自身がDDTをめぐる破壊行為の共犯者であったことに目が開かれ、DDT使用という愚行を一切やめようと思うに至りました。変容はまず、彼自身、自分が巻き込まれていたことへの気づきであり、また、自分の気づきや理解が深まるにつれ、自身を取り巻いている自然との関わりについても変容を経験しました。

マートンの回心は、カーソンの本についての論評を読むという体験で直面したショックに始まりましたが、マートンに自然を愛し、自然を心にかけるよう教えてくれた両親(2人とも画家)の影響を通して、ずっと以前、幼少のころからその基礎は築かれていたのです。これは、マートンにとって、自然界の美と脆さに深く共感する第一歩となる体験でした。

しかし、1960年初頭のマートンの変容は、エコロジカルな回心というより、自然環境に対する見方の変化というものでした。それは、彼が修道士として、また隠遁者として生きたケンタッキーの森の自然環境に焦点が当てられていたからです。さらに次の段階でマートンには、エコロジカルな洞察に発展することが求められました。マートンは、自然界への共感から、地球上のいのちすべてが互いに支え合う組織をなしている、という理解へと進む必要があったのです。彼の環境への回心は、「エコロジカルな意識の進化」のはじめの一歩にすぎませんでした。(※https://laudatosimovement.org/2021/06/24/what-is-an-ecological-conversion-en-news/ より抜粋)

【省 察】

ラウダートシ第3章「生態学的危機の人間的根源」と第4章「総合的なエコロジー」をゆっくり、時間をかけて読んでみましょう。この偉大な回勅によって、教皇フランシスコは世界に向けてどのようにエコロジカルな回心を求めているのでしょうか。この呼びかけは、あなた自身の日常生活に、どのような影響を与えるでしょうか。

シスターとして、アソシエートとして、また仕事の同僚として私たちは、いかにYASが「心の回心が生涯かけての過程」であり、私たちを福音の視点に立ち返るよう呼びかけているかに慣れ親しんでいます(会憲36-39、一般指針51)。それぞれの引用を、エコロジカルなレンズを通して読む時、いかに人の心を深いエコロジカルな回心へと招いているかに気づかされます。静かな時間を取り、祈りを込めて読み直してみましょう。

【行 動】

ラウダート・シ 3章・4章を一人で、あるいは他の人と一緒に読み、熟考し、省察する時間をとった後、考えてみましょう。

  • あなたにとって、エコロジカルな回心とは何を意味するでしょう。あなたが体験してきた個人的回心の体験を思い起こし分かち合いましょう。
  • ラウダートシの3章・4章が私たちに求めていることに応えられるよう、個人として、あるいは他の人と一緒に、3つの特定の行動を選びましょう。
  • 私たちの「家」である地球におけるエコロジカルな関わりを心に留め、壮大な宇宙全体との繋がりに思いを馳せるために、自分自身の祈りのことばを作りましょう。
  • 「主の祈り」を唱える時、この聖なる祈りに含まれているエコロジカルな意味合いをさらに親しく響かせるため、「み国(キングダム)」という言葉に「親族の者の国(キンダム)」という言葉を当てはめて祈ってみましょう。

ラウダートシからの結びの祈り

全能の神よ、
あなたは、宇宙全体の中に、
そしてあなたの被造物のうちでもっとも小さいものの中におられます。
あなたは、存在するすべてのものを
ご自分の優しさで包んでくださいます。
いのちと美とを守れるよう
あなたの愛の力をわたしたちに注いでください。
だれも傷つけることなく、兄弟姉妹として生きるために、
わたしたちを平和で満たしてください。
おお、貧しい人々の神よ、
あなたの目にはかけがえのない
この地球上で見捨てられ、忘れ去られた人々を救い出すため、
わたしたちを助けてください。
世界を貪るのではなく、守るために
汚染や破壊ではなく、美の種を蒔くために
わたしたちのいのちをいやしてください。
貧しい人々と地球とを犠牲にし利益だけを求める人々の
心に触れてください。
それぞれのものの価値を見いだすこと、
驚きの心で観想すること、
あなたの無限の光に向かう旅路にあって
すべての被造物と深く結ばれていると認めることを、
わたしたちに教えてください。
日々ともにいてくださることを、
あなたに感謝します。
正義と愛と平和のために力を尽くすわたしたちを、
どうか、勇気づけてください。

アトランティックミッドウエスト管区のS.メリー・ヘザー・マキノンが
国際シャローム事務所のために準備してくださいました
グラフィックデザインは第24回総会指針より。デザイン:修道会のコミュニケーション事務所。