福音を生きるということ

Sr. ロクサン・ シャレス
総長 Sr. ロクサン・ シャレス
キリストのミッションに献身する私たちは、地球の危機に取り組むため、世界の心のあるところへと引き寄せられています。この道を歩むとき、私たちは、気付けば社会の周縁部で顧みられない弱い立場の人々と出会っているのです。今日の世界では、移民・難民・追放者・人身売買の犠牲者などは、排除の標的となっています。
そのような現状を理解し、相応しく応えるために、子どもや若者、男性であれ女性であれ、耐えがたい状況から逃れようとしている人々と顔を合わせ、声を聞き、寄り添い、その痛みを分かち合うことが何より大切です。彼らの旅路は、何とか生き延びて未来を創りたいという必死の願いそのものです。アフリカにおける、紛争や戦争による暴力の犠牲者たちに関わった私の10年間の使徒職は、チャレンジでしたが、恵みでもありました。人々の苦しみに痛みを持って気付き、それをあえて自分自身の個人的苦しみとすることによって、私達ひとりひとりに何ができるのかを見出すことが出来るのです。(ラウダート・シ19参照)
今年の機関紙 In Missionは、移動を余儀なくされている人々に手を差し伸べ寄り添う、ノートルダム教育修道女会の活動を取り上げます。個々の記事では、移住せざるを得なくなった兄弟姉妹に出会い、彼らを喜んで受け入れ、保護し、生活できるよう助け、私たちの生活の中に迎え、社会の一員とし、一人ひとりの尊厳が守られるよう働く、具体的な様々な取り組みが語られています。シスターたちはこのために祈り、同伴し、教育し、声を上げ、識別し、私たち自身と社会が変えられるよう行動しています。
私たちはこれらの体験によって、 “これは移住民に限った問題ではなく、私たち全ての問題だ“(フランシス教皇、2019年第105回移民難民の日に寄せて)と知るようになります。これらの記事は、移民・難民だけではなく、他者の中におられるキリストに出会うこと、その憐れみと愛、癒しと希望についてのことなのです。これは福音を生きることそのものなのです。