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国際連帯の日の省察

貧しい人々の叫び

2022年10月

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はじめに

現在の歴史の中で、私たちノートラダム教育修道女会のシスターたちは、心の奥底で貧しい人々の叫びを聞いてきました。私たちは常にこの叫びのために対応し行動を取ってきましたが、「ラウダート・シ」を実践する決意をした修道会として私たちの決意はいっそう強くなりました。このことは、この回勅の中核にもあり、私たちの会憲『遣わされている』の中心でもあります。「変化する社会の中で急速に展開する社会状況に敏感に気づき、どの世界問題に取り組むかを識別する。今日、貧しい人とは誰か。。。を見きわめるよう努力する…”。(YAS, GD 37)。このように、貧しい人々の叫びは、被造物の叫びの一つとなり(「2022年創造物の季節」教皇フランシスコのメッセージ参照)、「ラウダート・シ」の7つの目標の二つ目として、弱い立場にある人々に特別な注意を払って地球上の生命を守ることが提案されています。私たちは、貧しい人々の叫びに応え、あらゆる形のいのちを守るよう求められています。

祈りへの呼びかけ

共同体として、隣人の、教会の、私たちの助けを求める人々のニーズに応えるために常に受け入れ態勢ができている私たちの最初のレスポンスは「祈り」です。「 貧しい者の神よ、あなたの目に尊く映る、この地上に見捨てられ、忘れられた人々を救う手助けを私たちにさせてください…私たちは、あなたが毎日私たちと共にいてくださることに感謝しています。正義と愛と平和のための闘いにおいて、私たちを励ましてくださるよう祈ります。” (「私たちの地球のための祈り」ラウダート・シ246より抜粋)

経験

神のおきてとして、またイエスに従う者として受け入れる愛は、すべてのクリスチャンに、ライフスタイルを変え、立場の弱い人々を迎え入れ、共通の家を守り、シンプルな生活を送り、周りの人たちのニーズに気遣い、地球とそこに住む人や生き物全てへの愛を示すことを求めています。

アルゼンチンのアドログエの周辺地域にあるChapel of Our Lady of Peace(平和の聖母の礼拝堂)に所在するノートラダム教育修道女会の共同体として、私たちは貧しい人々に寄り添い、現代奴隷の危険にさらされている移民(ボリビア人、ペルー人、パラグアイ人や国の内陸部の人々)や、このコロナのパンデミック後の時代に苦しんでいる家族に対して特に注意を払っていきたいと考えています。例えば、ルーシーと彼女の孫娘は、いつも笑顔で私たちを迎えてくれ、私たちの訪問と支援に感謝してくれます。この人たちは仕事もなく、毎日を生き延びるための「チャンス」(1日または数時間だけの仕事)もなく、その上コロナの隔離プロトコルにより、別れを告げることができなかった親族や友人の多くの死に直面するという痛みと悲しみも抱えています。私たちは、他の団体のネットワーク等を通じて、毎月食料を届けるという支援もしていますが、それ以上に彼らの抱えている問題に耳を傾け、彼らがお互いにサポートができるように、精神的なケアも提供しています。

また、ドロレスさんの簡素な家が火事に逢い、すべてを失ったときも、私たちはとても親身になって対応してあげました。私たちは、他の家族や支援者の援助を得て、彼女の家を再建し、椅子やテーブル、洋服などを手配することができました。更に、私たちは多くの人と協力し、二カ月後に生まれた彼女の赤ちゃん、ベンジャミンのためのベビー服を用意し、暖かい環境の中でベンジャミンを迎えることができました。現在、彼女の夫は近所で大工の助手の仕事をすることができ、彼女は今でも大変感謝しています。

このような現実問題に周りの人と協力し合いながら取り組むことにより、私たちは大きく成長することができ、私たちの道のりにおいて希望を与えてくれます。そして、私たちが援助する家族や多くの人々も「一緒にいてくれるととても嬉しく、安心できる」と言ってくれて、そういう言葉を聞くと私たちもとても恵まれていると感じることができます。

リフレクション

貧しい人々に対する抑圧は、何世紀もの間続いてきた非常に厳しい現実問題であり、彼らの人間としての尊厳は危機に瀕しています。気候災害や紛争が起こると、彼らは更に困窮状態に陥ります。教皇フランシスコは、私たちに貧しい人々への配慮をするよう促しています。教皇は、回勅「ラウダート・シ」の中で、地球の叫びと貧しい人々の叫びは同じ叫びであると説いておられます。文字通り、「叫び」というものには深い意味合いが含まれているのです。それは、痛みや苦しみの感情、悲しみや喪失の経験、そして連帯や思いやり、正義や尊厳を探求することを呼び起こすということを意味することもあります。

今、私が耳にする貧しい人々の叫びとは何だろうか?

貧しい人々の苦しみと希望は、教会の苦しみと希望でもあるのです。キリスト教会は、「イエスの記憶と預言的な声」の担い手として、「貧しい人々の記憶と預言的な声」の担い手でもあるのです。YAS Const 17を読む

私は、そして私たちは、自分が住み、奉仕している所の貧しい人々の叫びにどのように対応するよう求められているのでしょうか?

実践

貧しい人々の叫びと被造物の叫びに絶えず注意深く耳を傾けていると、地球と、困っている兄弟姉妹に対し効果的な配慮ができるよう私たちを導いてくれます。私たちの福音に基づく行動の決断は、共通善を求め、ほとんどの人が避けるような人々の方に私たちの注意を向けさせてくれます。ノートラダム教育修道女会のシスター方が住み、奉仕するそれぞれの場所で対応するためのきっかけとなるような、いくつかの行動のアイデアを提案します。

  1. ネットワーク作り:ネットワークを形成して、資源、物資を手配するだけでなく、耳を傾け、力づけるなどのサポートを提供する。カリタスパックス・クリスティ・インターナショナル、各地の宗教会議などと連携する。
  2. 不当な組織構造の原因を探り、どのような行動が取れるかということを理解するために、教会の文書等を個人的に、また共同体として研究・調査することを決意する。今月は、「ラウダート・シ」第3章「人間が環境危機の根源にある」、「フラテリ・トゥッティ」第3章「公平な世界を考え、創り出す」と、「第6回世界貧者の日」のための教皇フランシスコのメッセージ「イエス・キリストはあなた方のために貧者になられました」(第2コリント人への手紙8、9)を読むことを提案します。
  3. あなたの周りの貧しい人々の叫びに応える具体的な行動を、共同体/学校/教区として考えてみてください。

終わりの祈り

アマゾンの貧しい人々のために全生涯を捧げ、彼らとともに、そして彼らのために貧しくなったペドロ・カサルダリガ司教の祈りです。彼は常に迫害され、殺害の脅迫を受けながらも、たゆまぬ人権擁護の活動を続けました。

 

結ばれた手

主よ、祈りの中で、恵みの中で、私たちの手を結ばせてください。

御父であるあなたの御手に結ばれ、
貧しい人々と手を結んでいる、

聖霊の実りある翼と一つになれますように。

福音の手、命の種を蒔く者、
希望の灯火、平和の便り。

あなたの支えとなる手に結ばれ、
すべての人々とパンを分け合えますように。

世界の十字路で、あなたの穴の開いた手に結ばれますように。

あなたの栄光ある復活祭の手に結ばれますように。

手がある限り、国境を越え、手を広げられますように。

全世界を受け止め、王国のために忠実に生きられますように。

正義への情熱の中で緊張し
愛に包まれ
与えられたものを、何倍にもして差し上げる手、
もっとたくさんの手を。

そしてもっとたくさんの手の結びをお恵みください。

(ペドロ・カサルダリーガ「結ばれた手」)

 

ラテンアメリカ・カリブ海管区のシスターカニシア・アルジェ、シスターパオラ・バリノ、

シスターヤニナ・セハスが国際シャローム・ネットワークのために作成しました。

グラフィック: 第24回総会指針より。デザイン: 修道会コミュニケーション部門